あまりにも蒸す夜、
外のほうが涼しそうだね、お散歩にでもいこうか
ってことになって、毛だらけの毒ウサギを連れて、賀茂川を涼みにあるく
あんたも、年がら年中毛だらけで
それはたいそう暑かろう
風の気持ちよい川べりで、今夜は、たんと涼みなはれ
って、サーヴィスの一貫も込め
が、あんまりお外にでたことのない彼
アパートから出るときは、お医者さんに行くときなので、明らかに乗り気ではない
岩のように固まって、家の者に抱かれていた
で、ときどき、「 人間の脇をチっと噛んで 」 抗議のほどを示している
河原はたいそう快適だった
風は心地よいし、水の音は涼しげだし、ウシガエルの地獄の使者のよな声もオツなもんである
彼が買ってきてくれたソフトクリームをなめつつ
夏の夜を楽しむ
岩のようにじっとしていた毒ウサギは
夏菓子を見て、ぐっと首を伸ばして 「 なんや、ぼくのは無いんかいな 」 と文句を言った
じゅうぶん堪能して
来てよかっただろう
アパートでのびてるより、気持ちよかっただろう、って恩をきせると
小動物は
「 ぼく、来とうなんかなかったもん 」
つって、
抗議の「 脇噛み 」をチッとした。