黄金週間がちかくなると、ご近所の庭にも小手鞠の花をよくみかけるようになる
ああ、もうこの季節がきたんだね、と思う。
うちのお義母さんは、ながいこと心臓がわるかった。
でも、とても快活な女性で、
週末になると、一人で車を二時間ほど運転し
田舎の家で、すごしたり、庭仕事に精を出したりしていなさった
家族が心配してもへいっちゃら
義父は、週末仕事が終わるなり、急いでそちらにはしる
そんな義母も、体調が芳しくなくなり、なかなか田舎の家にも行けなくなった
よく、
もう、薔薇もだめかしらねぇ
畑も動物が荒らしてるでしょうねぇ
なんて、淋しそうにしていらした
連休中、
わたしたちは、よく家に風を通しに行った
お義母さんのいうように、
ばらの花は枯れていたし、野菜もおサルか何かがばりばり噛んでいる
そんななか、こでまりの木だけは、もうもうと、見事で、真白な花をつけていた
小手鞠、というより、大手鞠のように立派な枝ぶり
チョンチョン、と切って
大きな花束にして、お土産にもってかえった
おかあさんは、たいそう喜んでくれて
きれいねぇ、きれいねぇ
と、うれしそう
こでまりの花は、ながいこと枯れずに活き活きしていた
だから、この時期になると、彼女のことを思い出す。