お燗のおいしい季節になりましたね
晩酌をすることはなくなったけれど
外で食事をするときは、やっぱりすこしはよばれたい
酒類のなかでも、日本酒はとくに贔屓のジャンルだが
冷酒も、ひやも百花繚乱のなか、
基本、日本酒=燗をつけたお銚子である
なぜだろう、と記憶を紐解くと、
叔父の影響を
しらずしらずのうちに受けていることに気が付いた
里の父はお酒に弱く、
親族の集まりがあっても、母をはじめ、
叔父叔母たちはビールが主であった
というか、ビールしか並んでいなかった
そんな中、ひとりの叔父だけは
最初から最後まで燗酒を通し
叔父があそびに来るときだけ、卓にお銚子が用意される
お酌を受けるのもそこそこに、
すぐ手酌に切り替え自分のペースで味わう様は、
子供心になんとのう格好良く映ったものだ
叔父と子供の私が、いつだったか、
なんの話だったかの際、
宴会中、端っこで他愛もないことをしゃべっていて、
たぶんちび大五郎が
叔父さんはいつもぬくめたお酒だね、
というような事を聞いたのだろう
そのとき、
「 うん、・・・冷やは、行儀がわるいからなあ 」
と、答えがかえってきた
この理由を聞いたのは、あとにも先にもこのときだけで
大人相手の世間話でも
叔父がそういう話をしているのを聞いたことがない
あの人の中では、冷や酒は品がない、という
自分なりの秘めた美意識があったのかもしれない
ふだんはつまびらかにはしないけど、
酔いのなかで、おさない姪っ子相手に
ついつい口がゆるんだのかもしれないな
というわけで
なぜかそのときの記憶が鮮明に残っていて、
わたしも日本酒はお銚子が当然、になった
とはいえ、叔父のように
ぬる燗でたのしげな情緒をまといつつ、
ではなく、
どっちかというたら、
カッ!と熱い、がらっぱちなお燗が好きなのだけど