常日頃、じかんがあくと散歩がてら、
近所の上賀茂神社へおまいりするのだが
きのうはたまたま、
月に一度催される手づくり市の日だった
どこのおみせも
わいわいとにぎやかにやりとりされているなか
木陰のしたに麻のハンカチーフが数種類のった小机の、
えらくこざっぱりしたお店がある
なにか、そこだけみえない空気のカプセルに
はいっているかのような静寂さだ
店主は机幅の空間に姿勢よくそっとすわり
このあついなか、
白い長そでのシャツに長ズボン
きちんと襟のボタンまで全部とめて、微動だにされない
お客が来ても、立つわけでもなく
そのままの姿勢で、ひかえめに、
なんとのう説明してくださる
愛想がわるいわけではなく、ただただ静寂なのだ
木の精霊っぽくにもおみうけする
悩んでいると、
「 ゆっくりなやんでくださいね 」 とおっしゃり
刺繍をじっとみていると
「 ほつけたらなおしますので又もってきてくださいね 」
お品がきまれば、
店名のかいた紙の輪っかにしゅっといれて渡される
先月も市の終わりがけ、はじめてここを拝見して
白地に魚の刺繍をほどこしたハンカチーフを
一枚いただいたのだけど
「 ちょっと小さめなので 」 と、
ふつうのよりお安くしてくだすった
でも今回わけてもらったのと、ほとんどサイズはかわらない
しずかすぎて読み取れないが
ご店主の大サービスだったのかもしれないな
「 イワイワハンカチーフ 」