実家の近所に住むおじさんが亡くなった
おじさんのお宅は子供さんがいなくて、ご夫婦でふたりぐらし
しばらくはろうそくの灯の番があるので、夜になると、うちの母親が泊まりにいっているらしい
日本中の町内にもれず、
子はよその町に居をかまえたり、うちのように姉妹二人のお宅なぞは嫁に行ったりで、
親世代だけのお宅も多くなっている
が、それでも安心しておれるのは
仲の良いご近所さんたちのおかげだ
昨日今日のおつきあいではなく、何十年もあたためてきた交流だから
互いが何かのおりには、声もかかるし、手もさしのべられるのだろう
お盆や正月、ご近所のおじさんおばさんたちに、
「 いつもうちのお父ちゃんやお母ちゃんと仲良くしてくれてありがとうね。
おばちゃんたちが居てくれるから私ら子供もつい安心して甘えています 」 と、ご挨拶に行く
はずかしがりやの国民性と土地柄か、
そう遠慮のなさすぎるべたべたした付き合いではなかったように思うが
「 なんの!このあいだ、お父さんに機械なおしてもらったよ 」
「 おかあさんに新しいお店を教えてもらって一緒に行ったよ 」
とおっしゃっていただき、
うちでは両親が、だれそれさんにああしてもらった、こうしてもらった、と同じようなことを言っている
伴侶をなくしたおばさんは、
「 大五郎ちゃんのおかあさんのことはねぇ 私、姉妹みたいに思ってるのよ 」
と、言ってくだすった
私たちが歳をとったとき、
こんなふうに思ってくれるご近所さんが居るだろうか
とても、とても、うらやましい。