わたしの仲良しには、
五花街のひとつの元芸妓さんがおいでである
こう書くと
「 あら?・・ ということは
もしかして大五郎さんも
元は花柳界の麗人なんじゃ・・・ 」
なーんて思われるかもしれないじゃないが
なーんてひとりぼっちのうぬぼれむなしく、
そのとおり、これっぽちの所縁もない
一年ほど前になるだろうか、
むかしの職場の同僚たちと仕事帰りに
よく通ったスペインバルがあって
そのお店の何十周年記念かのご案内が来た
もうながいことご無沙汰していたから、
ひさしぶりだしお祝いにゆこうかね
旦那さんも知っているお店だが、
その日は仕事の都合がつかなかったから私一人で向かう
当日は祝う方々で満員で、店内はぎゅうぎゅう詰め
そのとき、いっしょにどうですか、と
席を供してくだすったのが、元芸妓さんと妹さんだった
以来、うれしいことによく誘ってもらうことが増え、
美人姉妹と女子会を開いている
彼女はご結婚されて花柳界を引退し、
今ではご主人の家業を手伝っておられていて
一見、気取りも何もない明るい若奥さんであるが
やはりそこは、女性のプロ
私より年下だけど、面倒見がよく、よく気がつき、
お酒もすごくお強い
とうぜん場持たせにも長けていらっしゃる
とりわけ、おお! と唸るのが、
切れ長の目や美しい白肌もさることながら、
眉毛のなんとうつくしいことよ
まさしく、柳の葉のようにシュッとしてたおやかである
これぞ一主婦眉とは雲泥の差が見てとれる象徴であろう
会うたび
「いいなあ、いいなあ、ほんまきれいやなあ〜 」
と羨ましがるも
彼女は、
「これは職業眉で、もうこうしか描けないだけー 」
て笑う
仕方なし、的におっしゃるが
なんと贅沢な 「 仕方なし 」 だろうか
己のぼっさぼさ眉毛をいじくりながら、
彼女の柳眉にいつも見惚れている
*画僧お借りしました