誂える、というと
お着物だったり、コートだったり、宝飾品なぞを筆頭にいろいろあるが
そういう高ものにはご縁がないので、この夏、毛色の違うものを誂えていただいた
わたしは熨斗紙というものを溺愛していて
気のきいたお店なら、気のきいたすてきなものをかけてもらえるし
ふつうの殺風景なお熨斗にも愛着がある
でも特別なときにつかう、とびきりのものも以前から欲しいなと思っていたのだ
そういう気持ちはうすぼんやりしていたものだけど
そやそや、おねがいできるぴったりなお店があった、と気がついて
かみ添さんに話してみる
紙見本の中から、儚げで美しいものをえらび、
希望の文様や意匠もかんがえてはみたが、そこはすべておかませすることにした
こちらのお品は、お店の名前通り、まさしく「添える」 感じで
表にですぎぬ、ゆかしさがある
そこがすきなのだ
先日納めていただいたお熨斗は、期待通り美しく、
三十枚ほどのうち、五種もの意匠でこしらえてもらっていた
些少な注文に、たいそう手間をおかけしたようでうれしくありがたい
だいじなひとに差し上げる何かに、ふわりとかけるときが待ち遠しく
ときには、朱の岩絵の具をといて、
赤棒のちょうちょむすびを書きたすのも乙なものかも、とわくわくしている
「 かみ添製 熨斗紙 」
明りや陽にかざすと、ほどこしてある雲母の銀白色が、やわらかく顔をだし
とても、とても、うるわしく