先日、姉といっしょに母親の検査についてゆく
かえりは三人で、お食事とかショッピングなぞをいろいろ楽しんだ
デパートをあるいていたとき、クリストフルの売り場をのぞいたら、
銀の栞のあたらしいシリーズが出ている
ほかのも持っているのだけど、青い夏の銀杏の葉を想わせる風情がすてきで
なんとのう、つんできたほんものよな青葉を本にはさんでいる趣もただよい
やっぱりほしくなって、店員さんに手配してもらっていた
そこに、ほかをみていた母親がやってきて
なにを買ったの? ときく
お品をみせると、堅実な昭和の主婦らしく、
「 まあ、すごくきれい
すごくきれいだけど、お高いねぇ
栞がほしかったの?
しおりだったら、おかあさん、このあいだ銀行でもらったやつをあげるよ
紙のやつじゃないわよ 」
なぞと、すごいことを耳元でささやきだす
おかあさんてば
私は栞なら何でもよかったわけじゃなくて、
〇〇銀行とかロゴのはいったやつがほしい訳じゃなくて
たぶん紙じゃないけどプラスチックのものであろうそれじゃなくて
んもう、こまるなあ
と、思っていた矢先
合流してきた姉に、母は妹の買ったものを、
どこか、主婦なのに贅沢でもったいないものを買うこまった我が娘、
的なニュアンスで告げる
姉が栞とおなじ値段ほどで買った、箪笥に似たようなのがいっぱいつまっていそうな
ブラウスはちっとも批判されないのにだ
姉が 「あ、もう夏のセールになってるね」 て、ひょいと決めた洋服と
長いことうっとり見惚れて、つかうときのイメージを色々膨らませたわたしのを並べても
そんなにむだで馬鹿な買い物をした気にはならないのだけどな
でも実直な母親にとっては、きっと実用性があるかどうかが鍵になるのだろう
洋服とバッグとか、栞じゃなくて装飾品のアクセサリーだったとしても
「 日頃つかえるものなら 」って理由で、寛容なのにちがいない
でもこういう基準はほんとに各々、あらそっても不毛で、言うてもせんないこと
だめな末娘・大五郎は、美しい包みをそっと後ろにかくしたまま、
おとなしく二人についてお伴をいたしました